「大きくしてくれたのは内田篤人だった」――僕とアツトと。
岩政大樹が書き下ろすパートナーの存在
人を大きくさせるもの
篤人は鹿島を離れてからも事あるごとに僕の名前を挙げてくれました。彼の本に名前を載せていただいたのを見たときは嬉しかったものです。そんな一つ一つが僕を大きくしてくれました。たくさんの人が篤人を通して僕を知ってくれました。
だから、僕は自分の生き方として、基準点の一番に「自分」ではなく「チームメイト」を置く、ということに迷いがなくなったのです。
僕は小さい頃から、自分のもっているものだけでは限界がある、と感じていました。だから、「人を輝かせること」で自分が輝く。それが自分の生きる道だと考えていました。しかし、一方でプロとはそういう舞台ではなく、誰かが出てくれば誰かが蹴落とされる世界です。自分の生き方を貫いていいのか、迷いもありました。
そんなとき、篤人が発してくれた色々が僕を大きくしてくれているのを感じて、「やっぱり僕はこれだ。」と思いました。
それから鹿島での選手生活の晩年もタイでの1年も、そして岡山での2年間もその生き方をより意識しながら生きてきました。それは多分、プロ選手としてはちょっと変わっているので、色んな選手に感謝の言葉を伝えてもらいました。
それを僕は万感の思いで受け止めながら、いつもこう言って返しています。
「それならお前が成功してくれ。お前の成功がおれを大きくしてくれるから」
そこに、
「成功したときにちゃんとおれの名前出してね」
と付け加えながら(笑)。
〈岩政大樹。東京ユナイテッドFC。9月16日「PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法」を上梓〉